治験開始のお知らせ

3.治験は何故必要か

 これだけ医学が進歩し、多くの病気が治療可能となってまいりました現代ですが、それでもなお神経難病、癌、先天性代謝異常症、精神疾患など有効な治療手段の確立を待ち望んでいる数多くの病気が存在いたします。そうした方々に対し一刻も早く安全で効力の高い治療薬を提供してあげたいというのは万人の願いでしょう。
 一方、申すまでもありませんがネズミ、犬などの動物と人間はまったく異なります。何が違うかと言いますと、体を構成している染色体、遺伝子、蛋白質、酵素などがまったく異なっております。人間に最も近いといわれているサルでさえも前述した要素は人間とは異なります。
 従いまして動物実験では安全、有効であっても実際人間に応用した時には有害、無効である場合が幾らでもあるのです。従いまして候補薬が実際に人間に使えるか否かの最終確認は、どうしても人間を用いた臨床試験が不可欠なのです。しかもそれは日本人でなければいけません。人間であれば欧米人であろうが日本人であろうがアフリカ人であろうが皆同じだから欧米で安全性、有効性が確認され認可されている薬剤であるのなら、わざわざ日本人で1から試験を開始しないで、そのまま使用を認めたら良いと思われるかもしれません。
 しかし同じ人間でも人種により酵素活性、薬物有効性は微妙に異なるのです。たとえば肺癌治療薬であるゲフィチニブ(商品名:イレッサ)は欧米での成績を主な根拠に日本でも認可されましたが、欧米では発生頻度が極めて低かった副作用である急性肺障害、肺線維症発現で多くの日本人患者が死亡し大問題となりました。この原因も欧米人と日本人での、この薬剤に対する代謝酵素活性の相違に起因するものであることが判明いたしました。従いまして新薬の臨床応用試験(治験)は日本人による日本人のためのデーター集積が必要不可欠なのです。

▶初めに
▶治験とはなにか
▶治験は何故必要か
▶治験参加の意義と損失
▶国立病院機構いわき病院で治験を行う意義

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