「月刊ととろ」第141号 web版

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 私は、歯科衛生士として16年間臨床現場や往診などを経て、震災の年に看護師となり現在に至ります。 7月に他の国立病院機構の重症心身障がい児(者)病棟から、「看護師の目線から見た口腔ケア」というテーマで勉強会の依頼があり、歯科衛生士の経験を活かし、勉強会を開かせて頂きました。
 当日は依頼された病院に出向き、講義と病棟での実技指導を行いました。講義では、看護師が日常生活の中で口腔ケアを行う際に重要な、口腔内の観察を取り上げました。 どこに炎症があるのか、口腔内は乾燥しているのか等、観察の視点について説明しました。 また、患者個々に応じたケアの重要性についても説明させて頂きました。
 病棟での実技指導では、重心病棟に入り現在の口腔ケアの実際を見せて頂きました。開口障害の患者様の口の開け方や、ブラッシング後の洗浄方法などの質問があり、アドバイスさせて頂きました。
 一般的歯科治療としては、残根を差し歯にしたり、ブリッジにしますが重心患者さんの歯科治療には特徴があり、治療に時間がかかることは口呼吸が長くできない為困難です。食いしばりが強いことにより歯が折れたり誤嚥の原因になることもあるため応急的な処置になることが多いです。私達、看護師が訴えられない患者さんの口腔内の観察・咀嚼状況を診て、個々に応じたケアをすることにより、口腔内環境を悪化させず維持できるのです。実際、口腔ケアに時間を要せない場合もありますが、口腔ケアのポイントは1日1回汚れをしっかり落とすことです。朝・夕は食物残渣を流す程度とし、昼一回しっかり磨くことで口腔内乾燥症の予防になるとともに口腔内環境は保たれます。しっかり磨く事は、時間をかけるという事ではなく、歯と歯肉の境目と歯と歯の間の汚れを落とすことです。 ポイントをおさえて実施すれば、短時間で汚れはしっかりと落せます。 毎日、汚れを落とす事の継続が大事です。綺麗に汚れが落とせれば、次のケアが楽になります。 無駄なく、継続した効果的なケアが口腔内環境を良好に保つ事に結びつきます。 今回、勉強会を開かせて頂き、年齢による歯磨き剤の選び方や口唇周囲に過敏がみられる方の口腔ケア方法や舌が白くなっている場合の磨き方など、多くの質問を受けました。 研修後、看護師が各病棟で実践に結びつけているとうかがい嬉しく思っています。
 重心病棟の口腔ケアは、開口障害、歯肉増殖、口唇周囲の過敏の為、歯ブラシを嫌がる患者さんが多い中、ブラッシングの仕方が難しいですが、毎日の関わりの中、時間をかけて少しでも虫歯の予防、歯肉の炎症、出血の軽減が改善できるように発信し、毎日の食べる楽しみを大切にできるよう援助していきたいです。
はまぎく病棟 看護師 : 伊藤 智子
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接遇研修を終えて

ttr23_03 今回は、あらたに外部講師を招いて接遇研修を開催しました。医療従事者を対象とした接遇講師が少ないなかで、今回の講師は多数の病院や施設を対象に講演会を開催している経歴がありました。事前打ち合わせの時点から、医療現場に精通されていると感じられるエピソードをうかがい、切れの良いパワフルトークが印象的でした。一般的な接客マナーとは一味ちがう直ぐに現場に活かせる講演が期待されました。
 冒頭、起立で始まり体を動かしながら、テンポの良い芸人風の軽快なトークに引き付けられ、みんな笑顔で楽しみながら実践!一部の職員は盛り上がり、脱線してしまうエピソードもありました。終始みんな笑顔で90分という長い研修にも関わらず、え?もう終了?という思いが残りました。
 講演内容も充実しており、期待通りという印象でした。医療従事者としての自身を客観的に振り返る、感慨深い場面もありました。アンケート結果からも、私と同様の思いで研修を受講している職員も多く見受けられました。 当初の研修目的として「患者・家族との信頼関係を構築させ、安心感を提供する」としましたが、表面的な接遇では患者満足度は向上しません。相手を引き付け心を動かすには、まずこちらから相手に興味をもって相手の立場にたち、心に寄り添うような姿勢をみせることから始まります。また、私たちの笑顔は患者さんの「心の治療効果アップ!」スキルとマインドが身についてこそ、心にゆとりが生まれ「正しい行動選択が出来る」。自分自身が、心身ともに健康であってこそ仕事ができます。社会人として、自分自身の健康管理に努める必要があります。
 担当者として、接遇講師に接客しなければならないプレッシャーが重く圧し掛かっておりました。しかし、研修終了後から、「楽しかったよ!良かったよ!」と決まって笑顔で声を掛けられて、悶々としていた思いが吹っ飛んで行きました。今後とも今回の研修を活かし、相手の心に響くような接遇を心掛けて行きたいです。
外来看護師長 : 江渡 しのぶ

 

平成27年度 第3回地域連携研修会のご案内について

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 今年度の第3回地域連携研修会を以下の通り開催する運びとなりました。
 今回は外部講師をお招きし、 特別講演として、 会場をスパリゾートハワイアンズに変更して行います。
 講師の饗場郁子先生は転倒予防の第一人者であり、 実用的なアイデアを根拠と共に示してくださいます。 その取り組みは、 看護雑誌の特集記事にもなっています。 リスクマネージャー、 看護師、 リハビリテーション療法士、 ヘルパーの皆さまなど、 多職種の皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

地域医療連携委員会
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ttr23_09 彼女は生後まもなく人工呼吸器装着となり、 在宅で家族と一緒に暮らしていました。 遠方からいわきまでくることになり、 家族に付き添われ入院してきました。 身体は小さく、ぱっちりとした目をして、かわいらしい女の子でした。目をキョロキョロさせながら、 不安そうな表情で車イスに乗っていました。入院の手続きを終え、翌日家族は帰宅し、彼女のいわき病院での生活が始まりました。 彼女は初め表情もかたく、夜中 『うわ~ん』 と泣くこともしばしば。 まだ 5 歳。 家族と離れてどんなに不安でさびしいだろう。 母親はどんな思いで入院を決断したのだろう。 遠い土地で心配だろうな。 そんな思いがありました。 私ははやく彼女が入院生活に慣れて、 元気な笑顔を見せてほしいと思いました。 そこで彼女が大好きだと家族が話していた童謡の CD をかけて、 歌ったりし音楽に触れる時間をなるべく多くしました。 また気分転換に車椅子での散歩を計画的に取り入れました。 はじめは、 緊張した表情をみせていたものの、 徐々に外の景色を見ると笑顔をみせてくれるようになりました。スタッフ全員がそれぞれに、人形であやしたりするなど、まるで家族のように彼女に関わっていました。 彼女もどんどん変化していきます。 あやすと 『ははは~』 と笑ったり、 『は~い』 など返事を返してくれます。 今ではスタッフの名前を覚えて呼ぶようにもなりました。 時々泣くこともあるけれど、 彼女の表情は豊かでとっても素敵な笑顔を見せてくれます。 私は彼女の変化やその笑顔がうれしく、 元気でいられるようまた頑張ろうと思いました。
 私は重心病棟での経験が約 2 年ほどですが、 ここに配属になって個々の患者さんに関心を持って関わっていくと少しずつではあるけれど変化が生まれてくる事を実感しました。 看護とは、 様々な人に関われる職業。 その人の背景を考えながら関わっていくことが大切だと思いました。 時には家族のような思いで接する場面もあることがわかりました。また看護師の仕事は大変なこともあるけれど、 様々な患者様に関わる中、 患者さんが変化することで自分も成長できる職業であるのだと感じました。ttr23_14看護とは決して一方的なものではなく看護をすることで自分自身がケアされることを教えてくれた経験でした。 最後に、 彼女に。 家族の元に帰れるまで、 病院でのたくさんのママ役やパパ役がそばにいるからね。
はまぎく病棟 看護師 : 小野 彩子

 

新任者自己紹介

 見学に訪れた時の印象が、 「アットホームな雰囲気の病院」 と感じたのが就職するきっかけになりました。
 今までは、 ゆったりとした時間の中で仕事をしてきたので、 全く違う環境で働くという所での不安はありましたが、 スタッフの方々に丁寧に教えて頂き助けてもらいながら仕事をしています。 これからも皆さんの足手まといにならない様に頑張りたいと思います。

第1病棟 看護師 箱崎 裕美
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 ヒト以外の他の類人猿はもとより、イヌ、ネコ、爬虫類など四足歩行する動物の歩行のコントロールは大体同じく、中枢神経系(脳と脊髄の総称)が担っております。これらの動物の大脳皮質の発達は非常に悪く、しかも大脳の殆どは嗅いに関する嗅脳ですので直接に歩行をコントロールしているわけではなく、脳幹(中脳、橋脳、延髄の総称)と、それが支配する脊髄(頸髄、胸髄、腰髄、仙髄の総称)によって歩行がなされます。イヌ、ネコ以下の動物では脳幹が無くとも反射的な歩行はできます。脊髄に存在する基本的な歩行の中枢をCPG(中枢性歩行パターン生成機構)と言います。勿論ヒトにもこの脳幹、脊髄の歩行生成機構は受け継がれておりますが、大脳皮質の関与が極めて大きく、一部反射運動もありますが、殆ど意思でコントロールする随意運動となっている点が、類人猿をも含めた他の四足歩行動物と決定的に異なるところです。

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