「月刊ととろ」第167号 web版

 近年、テレビで「ソフト食」や「ユニバーサルデザインフード」などという言葉を聞く機会が増えました。バラエティ番組でも、見た目はそのままで噛まなくても食べられる商品などが紹介されており、世間でも「軟らかい食事」に対する関心、必要性が高まってきています。
 今回は、高齢者の栄養管理をテーマに、食事の基本から嚥下機能に合わせた食事の種類と調理の工夫についてお話させていただきました。特に、訪問看護に携わる方や介護職の方が多く参加して下さいました。在宅での嚥下に合わせた食事を作ること、またそれを食べていただくことは、設備や金銭面、時間、労力など様々な制限があると思います。そのような中で、充分な栄養を摂っていただくためには、沢山の工夫が必要になってきます。
 高齢者の栄養に関わる特徴として、体水分量が徐々に少なくなり脂肪量が増える、噛む力・飲み込む力が弱くなり、消化吸収能力も低下してきます。そうすると、脱水や体重減少、免疫力低下など低栄養になるリスクが必然的に高くなってきます。ですので、最近、食事量が少ないなぁ、味噌汁飲むとよくむせるなぁと感じたら、注意が必要です。
 食事は、栄養を摂るものですが、嚥下機能に合わない食事はムセや誤嚥の原因になり、かえって危険なものになってしまいます。日本摂食嚥下リハビリテーション学会分類では、機能に合わせた食事の形状についての基準を示しています。今回は、当院でも提供している3種類の嚥下調整食について、使用食材や在宅での調理の工夫、既製品の購入方法などを紹介しました。
 噛む力が弱くなってきた方には「歯ぐきでつぶせる」硬さ、舌が左右に動かせない方には「舌で押しつぶせる」硬さ、噛みくだく力がない方には「かまなくてもよい」硬さなどがあります。食材を軟らかくする工夫として、圧力鍋やめん棒でのばす、よく煮込む、つなぎに豆腐や芋を使用するなどがあげられます。嚥下機能に合わせた食事は、形態が下がるほど、在宅での調理は複雑で手間がかかりますので、自分ではうまく作れない料理などはうまく市販品を取り入れてみるのがよいと思います。
 今回の講演会を通して、病院でも施設でも在宅でも、患者さんにできるだけそのままの形でおいしく食べてもらいたいけれども、患者さんの希望と実際の食事とのギャップで悩んでいるのだと感じました。
 病院から在宅・施設へ、またその逆もありますので、食事に関しても三者で連携していければ良いなと思いました。
主任栄養士 : 仁和 愛里
-1-

第71回国立病院総合医学会に参加して

 第71 回国立病院総合医学会は、平成29 年11 月10 日(金)、11 日(土) の2 日間、香川県高松市にあるサンポート高松、レクザムホール等を主会場とし開催されました。
 香川県は“うどん県” として有名ですが、讃岐うどん以外にも瀬戸内海国立公園に面し、会場正面には『平家物語』で知られる屋島があり、瀬戸内の幸も豊富で小豆島など数々の島が点在しています。今学会では、過渡期にあると言われる我が国の医療を背景に、” 道一明日へ-国立医療の未来を拓く” をメインテーマとし活発な発表や討論が行われました。
 当院の発表は8 題であり、次に演者と演題を紹介します。
 1 病棟 稲沼あや看護師が「神経難病患者の家族が在宅生活を送るうえで抱える思い」を、3 病棟 齋藤千尋看護師が「神経難病患者の内服自己管理導入における重要因子」を、検査科 木下愛臨床検査技士が「脳波・インボディー検査時に生じる問題への対策について」を 、リハビリ科 渡邉大介言語聴覚士が「パーキンソン病患者に対する嚥下障害の包括的予防・改善プログラムの試行経験」を、リハビリ科 小柳 穏運動療法主任が「心臓血管外科術後における舌圧と握力変化の関連と舌圧低下に関わる因子の検討について」を、栄養科 仁和愛里主任栄養士が「摂食嚥下プロジェクトチームにおける栄養士の役割と今後の課題」を、栄養科 松本祐耶栄養士が「他職種連携によって栄養改善を認めたギラン・バレー症候群患者の一例」を、医局 鈴木 栄副院長が「神経難病による長期入院患者の体成分データの検討」をそれぞれ発表しました。どの演者も大変落ち着いて発表を行い会場からの質問にも的確な対応をしておりました。
 ここで、いわき病院にとって大変嬉しいニュースがありました。検査科の木下愛さんとリハビリ科の渡邉大介さんの2 名がベストポスター賞を受賞するという、大変な快挙を成し遂げました。この場で2 名の受賞を称えたいと思います。
 今回のポスター等の発表では、従来の紙媒体を用いる形式とは異なり、大型(70 型) 液晶モニターを使用し“e ポスター” と言われる方法で、発表内容を事前にPDF 形式で作成し、メールで登録するという方法で行われました。インターネット時代にふさわしい方法と言えるのかもしれません。
 来年の第72 回国立病院総合医学会は、第66 回と同様に神戸市内で開催されます。今回の経験を活かし、さらに数多くのすばらしい研究成果が発表されることを大いに期待したいと思います。
副院長 : 鈴木 栄

-2-

院内感染対策研修

~宮城病院 久松由里感染管理認定看護師をお招きして~
“感染管理の基本を学ぶ”

 「エビデンスに基づいた標準予防策を理解し、院内感染を防止する」ことを目的に、宮城病院感染管理認定看護師の久松由里看護師長に講義を依頼し、全職員対象に院内感染対策研修を行いました。
 研修前に、一般病棟と重症心身障がい児(者) 病棟を一緒にラウンドし、当院感染管理の現状を見て頂きました。一緒にラウンドすることで、根拠に基づいてラウンド項目を見ていくという基本的なことを再確認する機会となりました。
 講義は1. 院内関連感染とは何か 2. 感染のメカニズムについて理解する 3. 標準予防策を理解する 4. 個人防護用具(PPE) を適切に着脱できる 5. 感染経路別予防策を理解できる 6. 手指衛生の重要性を理解するという内容で行われ、事前ラウンドの状況も踏まえて具体的にお話いただきました。また、う短い時間の中で、基本的な内容を分かり易く講義して頂きました。
 研修後のアンケートでは「基礎的な事項を丁寧に説明して頂いて有益であった」「防具の付ける順番を守ることで感染対策につながることが理解できた」「専門的なことを学ぶ良い機会になった」等の感想が聞かれました。
 院内感染を防止するには職員一人ひとりが当たり前のことを当たり前に行う姿勢が大切です。今回学んだ標準予防策の徹底が図れるよう院内感染対策チームとしても職員一人ひとりに継続的に働きかけていきたいと思います。
外来看護師長 : 佐藤 秀美

ルミネーション点灯

 毎年恒例のイルミネーションを正面玄関と中央廊下の一部に取り付け、12月5日に点灯式を行いました。
 点灯時間は、午後4時30分から午後9時までとなっております。

-3-

NHO PRESS~国立病院機構通信~について

↑クリックで拡大

 いわき病院は、国立病院機構(NHO:National Hospital Organization)という143 の病院からなる国内最大級の病院ネットワークの病院です。
 国立病院機構(NHO)という病院ネットワークが、どのようなグループでどのような活動をしているのかを紹介する『NHO PRESS ~国立病院機構通信~』を発行しています。外来待合室などに設置していますので、ぜひご覧になってください。
 なお、ホームページに最新号と過去のものを掲載していますので、そちらもぜひご覧になってください。「NHO PRESS」で検索してください。

↑クリックで拡大

-4-