「月刊ととろ」第158号 web版

 重症心身障害病棟では長期療養生活を送られている患者さんに多く楽しみを感じ取っていただけるよう、ご家族との触れ合いを大切にしながら行事や療育活動に取り組んでいます。今回、今年度の取り組みついて紙面を飾らせていただくことになりましたので、かいつまんでご紹介します。
 毎月の誕生会では誕生者のお祝いに併せて制作活動、ダンス、劇などを行いました。また、季節に合わせて行事を設定し、暖かい時期にはバスハイクや院内レクリエーションなど散歩を中心とした活動、夏には七夕会やプール、冬には還暦お祝い会やクリスマス会など年間通して患者さんやご家族と一緒に楽しい思い出をたくさん作ることができました。今年に入り、お正月あそびや豆まき会、ひなまつり会なども行い、ひな人形には厄災を人に変わって引き受ける役割があると伝えられていることもあり、みなさんの健康を願いながら正面玄関にもつるし雛を飾りました。
 それから、昨年より月に1度ホスピタルクラウンの方が来てくださり、更に患者さんと触れあう時間を多く持つことができています。
 また、当院では現在5 名の患者さんが福島県立平養護学校病院訪問学級の小学部へ通っていますが、今年度は1 名の方が小学部を卒業し、中学部へ入学します。来年度より校名が「養護学校」から「支援学校」へ変更になりますが、更に学校生活を楽しんでいただきたいと思います。
 来年度も患者さんの笑顔を引き出すため職員一丸となって頑張っていこうと思います。
療育指導室 保育士:山本 真美
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 当院では、平成26年度より国立病院機構福島病院附属看護学校の実習を受け入れています。今年度は、各論実習である成人看護学実習(政策医療看護)を重症心身障がい児(者)病棟で受け入れることになりました。実習を受け入れるにあたり、病棟では実習指導案を作成し、重症心身障がい児(者)の看護をどのように学生に学んでもらうか検討してきました。実習はじめは指導者・学生ともに緊張していましたが、一緒に患者ケアや行事に参加していく中で患者さんとの距離も縮まり、患者さん・学生・指導者皆に笑顔が見られるようになりました。
 また、障がいを持つ患者さんを「××できない」「××(合併症)の危険性」とマイナスの視点で捉えるのではなく、「○○すればできる」と患者さんの強みを理解し関わることを学んでくれたことを嬉しく思いました。さらに、日々穏やかに過ごすための機能維持の大切さについてもリフレクションを通して気づいてくれました。学生の多くの気づきに、私たちも改めて看護をじっくり考え、学ぶ時間がもてました。
共に学び合うことの楽しさ・喜びを学生の皆さんに教えてもらった気がします。
 今後も共に成長していけるよう日々研鑽していきたいと思います。
副看護部長:澤田 真樹

 

 
 命は取りとめたけど、意識が戻らなかったTちゃん いつか目が覚めるんじゃないかと奇跡を期待していました。生後7ヶ月の時、口腔ケアをしていて生え始めの乳歯を見付けた時は、成長していることがうれしくって、お母さんと一緒に泣いちゃったよ。
 自分が苦しい時でも周りを気遣ったYちゃん「先生、Yちゃんをなんとかしてやれないんですか!」「俺だってなんとかしてやりたいさ!」主治医の苦しさをあの時初めて知りました。Yちゃんの好きだったKANの「愛は勝つ」を聴くと、最後になった外出に嬉しそうに出かけていった様子を今も思い出します。
 お孫さんの結婚式に出たいと治療を頑張り、その数日後に亡くなったSさん 目的を持ってまっすぐに生きる姿、凜として素敵でした。
 看護の仕事は、時として辛い現場に立ち会わなくてはなりません。患者さんを支えたいと思いながら、実は自分がたくさんの事を教えて頂いてきたと感じています。
 これまで出会ったたくさんの患者さん、ありがとうございました。
看護部長:佐藤 千鶴子

 

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 近年、高齢化により食べる力( 摂食嚥下機能) が弱くなったために食べ物や唾液が気管に入り込み、 肺炎が起こる誤嚥性肺炎の増加が問題になっています。当院でも、高齢化や疾患の特性上、食べる力に合わせた食事( 嚥下調整食) が必要となっています。そこで、当院のスタッフ全体の嚥下調整食に対する認識の共有を図るため、2月2日に国立病院機構宮城病院栄養管理室の小原 仁栄養管理室長を講師としてお招きし、 院内研修会を開催しました。 「食形態の必要性と嚥下調整食について」と題し、なぜ、一人一人に適した食形態が必要なのか、嚥下調整食の役割、宮城病院でのソフト食導入の流れ、メニュー紹介についてご講演頂きましたのでご紹介します。
 食形態は、 日本摂食嚥下リハビリテーション学会の「嚥下調整食分類 2013」(以下 学会分類)と呼ばれる嚥下障害患者の食事基準に基づいて設定することが望ましいとされています。この学会分類の基準に合わせることで、 患者の食べる能力に合った食事が提供することができます。
 摂食嚥下機能が低下している患者は、誤嚥性肺炎や食事摂取量低下に伴う低栄養の危険性が高くなります。そこで、適した食形態をチーム医療として提供することによって、「安全」に「栄養が充足できる」ようになり、患者の「治療効果」「QOL(生活の質)」の向上に繋がると言われています。
 ソフト食はミキサーにかけゼリー状に固めることによって、 刻み食やミキサー食を食べている患者は、見た目で何を食べているのか分かり、食事を楽しむことが出来ます。しかし、導入するにあたって「マンパワー不足」や「調理工程の変更」等の課題を解決しなければなりません。そのためには、委員会の開催や職員にソフト食を理解してもらうなど病院全体で取り組んでいくことが不可欠だということが分かりました。
 参加者アンケートから、「見た目の大切さ」「多職種の協力が必要不可欠」「ソフト食導入を期待している」など嚥下調整食やソフト食について深く理解していただけたと実感しました。また、どの職種からもそのような意見があったため、病院全体の関心が高まってきていると思いました。
 今後、当院としては学会分類の基準に合わせた食事を提供すると共に、ソフト食を1 食の1 品から導入していきたいと考えております。これからも入院されている方が誤嚥することなく安心して食べることの出来る、安全で美味しい食事が提供できるよう病院全体で取り組んでいきたいと思います。
管理栄養士 : 松本 祐耶

 

新任者自己紹介

 2月13日から第3 病棟で勤務しています。私はいわき生まれ、いわき育ちで、一度水戸に就職しましたがやっぱりいわきが恋しくて3 年で戻ってきてしまいました。
 母がヘルパーの仕事をしており、利用者さんが「ここの病院の看護師さんは優しくていいですよ」との勧めもありました。働き始めてみて、スタッフの皆さんは優しく明るい対応で、もっと早く就職すれば良かったと感じています。
 これから、震災を乗り越えていけるよう、いわき市に貢献していきたいと思っています。
 今後ともよろしくお願い致します。
第3病棟 看護師 齊藤 亜里沙

 

 1月16日からいわき病院に採用となり、はまぎく病棟へ配属となりました稲葉敏美です。
 病院での療育・重度心身障がい児(者)病棟に関わるのは初めてなので戸惑うことが多い中、スタッフの皆さんの温かな配慮に感謝しております。
 これから、患者さんが楽しく充実した療育活動が出来るよう知識・技術の習得、環境の整備と充実に努めていきたいと思っておりますのでよろしくお願い致します。
療育指導室 保育士 稲葉 敏美

 

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 平成16年4月、全国の国立病院と国立療養所(ハンセン療養所を除く)は独立行政法人国立病院機構として新たなスタートを切り、当院も国立療養所翠ヶ丘病院から国立病院機構いわき病院へと生まれ変わりました。 診療内容も地域医療や重症心身障害医療に加え、筋萎縮性側索硬化症などの神経難病医療の占める割合が大きくなりました。 名前には依然として「国立」の二文字が入っているものの、 実際には国からの資金には頼っておらず、運営形態は普通の病院と同じです。また、全国に143施設を有する日本最大の病院グループの一員である強みを生かし、研究や教育の面でも実績を上げています。 これまで長い期間、 当院は豊間の地に根ざしてきましたが、6年前の東日本大震災で津波による大きな被害を受けたことを契機に、創立100年の記念すべき年である平成31年2月に小名浜野田へと移転することとなりました。 移転後は地域医療のみならず、 神経難病と重症心身障害のセンターとしてその機能をますます充実させていくつもりです。 新病院には最新鋭の 3 テスラ MRI 装置を始めとした医療機器が整備されますし、リハビリではロボットスーツ“HAL”を活用していく予定です。
 2年後に当院は豊間から離れることとなりますが、この地に存在していた記憶は永遠に消え去ることはないでしょう。 塩屋埼灯台をあしらったロゴマーク、 そして本紙の「ととろ」という名称はこれからも使い続けるつもりです。 1年間のご愛読、ありがとうございました。
 
 

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