「月刊ととろ」第143号 web版

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今回は外部講師をお招きし、特別講演として11月20日(金曜日)スパリゾートハワイアンズにおいて地域医療連携研修会を開催いたしました。講演内容を以下に掲載いたします。

「神経疾患患者の転倒を予防するために~チームで取り組む転倒予防~」

国立病院機構東名古屋病院 : 饗場 郁子

 

ttr143a_15 転倒には身体要因、環境要因などさまざまな要因が関与している。 神経疾患患者では、麻痺・姿勢保持障害など運動障害に加え、認知機能障害、転倒危険薬の服用など転倒に関する複数の身体要因を有する患者が多く、一般高齢者に比べ転倒しやすい。 患者・家族、医療者ともに‘転びやすいのは疾患からくる症状なので仕方がない’ と思っていることが一番の問題である。
 神経疾患患者の転倒を予防するには、まず患者の神経症候を把握した上で、転倒に関する要因は何かを洗い出す必要がある。転倒が生じた場合には、状況を振り返り、転倒に関する要因を分析した上で、対策を講じる。 たとえばパーキンソン病の患者が、夜トイレに行く途中転倒した事例では、身体要因としてパーキンソン病による‘姿勢保持障害’、‘白内障’、‘睡眠剤の服用’、環境要因として‘床の段差’、‘照明が暗い’ などさまざまな症状や環境が転倒に関与しており、各々の要因に対して対策をたてることが次の転倒予防につながる。
 転倒予防介入の具体的手法としては、1転倒予測、2対策、3教育・啓発、4リハビリテーションなどが挙げられる。
 神経疾患患者の場合、医療者が対策をとるのみでは不十分で、患者も積極的に1~4の介入に加わってもらう必要がある。 たとえば転倒予測として、入院患者の場合はアセスメントシートを記入するが、患者・家族にも転倒危険度チェック表をつけてもらい、いかに自分が危ないかを知ってもらう。2対策は医療者のみがとるのではなく、患者にも対策に参加してもらう。入院でも在宅でも患者自身がどうしたいのか、患者自身の思いを聞き、対策に取り入れることが大切である。3教育・注意喚起としては、患者・家族向けに転倒予防講座を開催、患者自身が注意できるよう、転びやすい場所に転倒予防啓発ポスターを掲示するなども有効である。 当院の最近の取り組みとして転倒予防川柳を募集・掲示すると、病棟での転倒が有意に減少し、川柳による転倒減少効果も確認されている。
 神経疾患のように運動機能・認知機能に問題があり、ケアが必要な患者の転倒予防対策としては、多面的な介入を行うようガイドライン上推奨されている。
ttr143a_19  医師、看護、リハビリ、薬剤師、栄養など多職種が多面的な介入を行う事で神経疾患患者の転倒を減らすことは可能であり、まさにチーム医療が求められる。

 

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高次脳機能障害について

ttr143b_06 高次脳機能障害とは、視覚・聴覚等の感覚器官の異常や運動器官の麻痺といった要素的な身体症状と関係なく、言語や認知、行為、記憶等の機能に障害が起きている状態です。
 主に大脳の損傷の後遺症として出現します。脳梗塞や脳出血などの脳血管障害で多く見られますが、変性疾患、感染症、脳腫瘍など脳損傷を生じさせる疾患であれば何でも原因疾患となりえます。
 脳損傷の部位、範囲、程度、発症からの時期などによって症状は異なります。一般に、病巣が大きければ高次脳機能障害の程度も重篤ですが、小さい病巣でもその機能の中枢を直撃するような部位であれば明らかな障害が出現します。
 高次脳機能障害の症状は多岐に渡ります。代表的な症状としては、言語機能が障害される「失語症」、目的に沿って運動を遂行できない「失行」、視覚や聴覚に問題なくても対象を認識出来ない「失認」、片側の対象に気づくことが出来ない「半側空間無視」、少し前の出来事を思い出すことが出来ない「記憶障害」、注意が逸れやすく集中できない「注意障害」、計画的に物事を実行することが出来なくなる「遂行機能障害」等があります。その他にも様々な症状が存在します。
 高次脳機能障害は、一定の回復がなされた後でも障害が残存する場合が多く、継続的な対応が求められています。近年、地域リハビリテーション構想が具体化され、各地域で種々の活動が展開されてきています。社会参加を促す意味でもこれらへの参加は意義があるとされています。

リハビリテーション科 言語聴覚士: 渡邉 大介

 

ttr143b_14リハビリテーション研修に参加して

 平成27年11月12日・13日の2日間、私は東京都東村山市にある国立病院機構東京病院に赴き、平成27年度リハビリテーション研修に参加してまいりました。
 この研修は全国の国立病院機構から医師とリハビリスタッフが約80名参加し、最先端の脳神経外科・整形外科疾患の手術療法やリハビリテーションを学ぶ研修会です。分かりやすく深みのある講義を受講出来ただけでなく、全国の先生方と意見交換を図ることの出来た今回の研修は、作業療法士2年目の私にとってリハビリテーションという仕事の可能性を大きく広げる機会となりました。 今回の研修で得た事、挑戦していきたい事を様々な形で実践していきたいと思います。

リハビリテーション科 作業療法士 : 村上 健吾

 

理学・作業療法士技能研修に参加して

 11月19日・20日に仙台にて、理学・作業療法士技能研修に参加してきました。
 今回の研修は、我々リハビリスタッフが行う訓練が患者様のからだにどう影響しているか、ということを学んできました。 学生の頃に学んだであろう、基礎知識からベテラン講師陣のテクニックまで、有意義な研修会でした。今回学んだ多くの知識や技術を患者様に還元していけるよう、頑張っていきます。

リハビリテーション科 作業療法士 : 西舘 拓哉

 

 平成27年11月19日~11月20日に理学・作業療法士技能研修に参加してきました。
 今回のテーマは『運動生理とリハビリテーション』についてでした。運動を行った時に、身体の中でどのような変化が起きるのか、基礎を中心に呼吸・循環との関係を再確認する研修でした。また、在宅とリハビリテーションの講義もあり、現状とリハスタッフに求められていることについて知ることができました。今回の研修で得た知識を、今後の業務に活かしていきたいと考えています。

リハビリテーション科 理学療法士 : 熊坂 美穂

 

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ttr143b_08 私が看護学生時代の話です。私がこれまでの看護師人生の中で、最も印象に残り、患者さんから「その人らしく生きる」ことはどんなことなのかを学んだことを書きたいと思います。
 その患者さんは、肝臓がんを発見され原発を探した所、すい臓がんの末期であることが分かったYさんでした。当時、医師も看護スタッフも緩和治療がその患者さんにとって良い方法ではないかと思っていました。ですがYさんは積極的治療を選び、がんセンターでの治療を行うことを決めました。私は、おそらく辛い療養生活になるにもかかわらずなぜそんなに積極的な治療を選んだのか疑問を感じました。その答えは、患者さんと今までの生き方を聞いたり、御夫婦で語り合っている姿から少しずつ分かってきました。ある場面がとても印象に残っています。それは、実習が終わり患者さんへ挨拶に向かおうとし分かってきました。ある場面がとても印象に残っています。それは、実習が終わり患者さんへ挨拶に向かおうとしていたところです。とても天気の良い日の夕方で、夕日が窓からさしていて患者さんとその奥さんが2人並んで座って何か話しているようなそんな姿が病室のカーテンにきれいなシルエットとなって映っていました。私は病室の前から2人の姿を見て、その空間に入ることもできずにいましたが、同時に患者さんは奥さんと共に生きる道を選んだのであろうと感じることができました。
 人がその人らしく生きる事とは、その人がどんな人で今までどんな風に生きてきたのかそしてこれからどんな風に生きていくのか、自分で決定していくことだとYさんから学びました。その後10数年間、看護師として働いてきましたが、現代の医療現場においてすべてがそういう形にならない経験もしてきました。その都度、悩みながら患者さんから学び続けていきたいと考えています。
 私は、看護職などの医療従事者は人生の浮き沈みの生き証人のような仕事だと考えています。病院という人生の一場面で、関わることのできる短い時間の中で、その方がどんな生き様であったか語ることができるそんな仕事です。私はそんな仕事を誇りに感じているし、生涯、人から学び、自分らしく生きていきたい。そのために人と会話する能力を高め、今まで出会った患者さんを大事にして、これから看護師を続けていきたいと思います。

第3病棟看護師 : 吉田 拓生

 

「イルミネーション点灯」

ttr143b_18 今回は正面玄関と中央廊下に加えて玄関を入ってすぐ上の部分にもイルミネーションを取り付け、12月2日に点灯式を行いました。
 点灯時間は、午後4時30分から午後9時までとなっております。

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新任者自己紹介

 11 月から業務技術員として働くことになりました北崎秀紀です。いわき市出身です。
 足が不自由で車椅子です。今まで経験の無い事ばかりなので皆様にご迷惑をおかけしますがご指導を受けながら皆様のお手伝いをさせて頂きますので宜しくお願いします。

業務技術員 北崎 秀紀
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 第11回の連載で述べたことをわかりやすく補足し図示してみましょう。私達が何の障害も無く、安定して歩いている時には大脳皮質や大脳辺縁系、視床下部の調整的介入は不必要で、もともとの歩行基本神経機構である脳幹・脊髄の自動的プロセスだけでなされております。しかし、歩行中に遠くからイヤで会いたくない輩が来るのを見て声をかけられないように足早にやり過ごそう、あるいは愛しい彼女に一刻も早く会いたいと歩を早めるときには、脳幹・脊髄系の自動的プロセスに視床下部、大脳辺縁系が作用し歩行のスピードを変更いたします。更に突然車が猛スピードで迫ってきたり、悪路に遭遇した時や、階段に差し掛かったりした場合は、それまでの歩行のパターン、スピードなどを根本から変更しなければなりません。そうした状況に遭遇した時は、大脳皮質がその場面に最も適切な歩行様式を即座に決定し歩行様式を瞬時に変更するのです。これら三つのプロセスによって私たちは安全で効率的で目的に合致した歩行スタイルをとることが出来るのです。

 

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